ミャンマー 骨董品の漆器を探して バガン④
ミャンマー 骨董品の漆器を探して バガン④
下地作りの技術を教える教室にやってきました。
壁は淡いグリーンの色彩で、コンクリート張りの教室になっています。
日本の教室によくあるタイプの机や椅子は、1つもありません。
板敷きのテーブルの上に、バナナリーフのむしろが敷いてあります。その上に、竹ひごや制作途中の下地が置いてありました。
ミャンマー漆器の主な下地の材料は、竹だと教わりました。馬の尻尾を使うこともあるそうです。
日本の漆器は、下地に木材を使うのが一般的だったので、素材の違いに驚きました。
日本は分業制のところが多く、木地師という漆器の下地を専門に作る職人がいます。ミャンマーでは全て一人で作る様です。
教室を見ると、日本の木地師がよく使う木を削る道具や、備え付けの重機が全くありません。一体どうやって下地を作るのでしょうか。
上の写真をご覧ください。
何と小刀で竹ひごを手作業で作り、それを一つ一つ上に重ねていくことで器の形を作っていくのです。手間暇のかかる繊細な作業です。
制作方法としては、以下の手順と先生から説明を受けました。
①まず竹を刃物で削り、竹ひごで土台となる下地を作ります。
②下地が完成したら、漆を塗り、乾燥させる、磨きをかけるという工程を10回以上繰り返します。
③最後に細かな装飾を手作業で彫り、場合により金箔や他の色を刷り込んで、磨いて仕上げます
竹ひごは良くしなるので、器の形状に制限はないと先生が言っていたのが印象的でした。
日本の漆器は重機を使い、ろくろや鉋を用いて作ります。もし間違って余分に木材を削ってしまうと、サイズを小さくするか、全て破棄するしかありません。
一方、ミャンマーの竹ひごを下地にする漆器では、もし下地作りで途中に失敗しても、その部分を外して補強すればいいのです。
マイペースに作ることができ、形の自由度も高いのです。
また、小刀一本で作れるので場所を選ばず、高価な備え付けの重機も必要ありません。
現地に多い竹をうまく活用した、地元の習慣にマッチした伝統工芸品だと私は思いました。
(次回へ続く)
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