投稿

ラベル(アジメール)が付いた投稿を表示しています

(実話)インド アジメール 総選挙の買収とバラマキ合戦

イメージ
三毛が3月にプシュガルの隣町、アジメールにいた時のこと。 モディ首相の3期目をかけた総選挙が各地で行われた。 インドは国が広すぎるので、今回は4月19日から6月1日にかけて総選挙が行われる。 州ごとに選挙地域を7箇所に分けて、約2ヶ月かけて投票が行われるのだ。 街を歩いていると、拡声器をつけた騒々しい音楽を鳴らすトラックの隊列が、5台ぐらいやってきた。 候補者の名前を連呼しながら、幹線道路でいきなり止まって、野外テントの設営を始める。 テーブルや椅子をを出してと大きな鍋をドンと並べた。 そこへ地元の人々が、すごい勢いで大勢集まってきた。 候補者の演説と同時に、カレーやチャパティの炊き出し、アイスクリームやチャイの無料接待が行われたのである。 候補者は演説はそこそこに、壇上で歌を歌い始める。子供がそれに釣られて、ステージで踊り出す。 それを見ながら、地元の人々は無料の食事をして、笑い転げているのだ。 日本では、考えられないような選挙活動、いや選挙のためのバラマキ合戦である。 そんな光景が選挙期間中に、インドのどの地域でも繰り広げられていた。 人口では世界最大の民主主義国家、選挙もそれに相応しいシステムが準備されている。 投票は、日本のように投票用紙に名前や政党を書く記名方式ではない。 投票所にある政党や候補者のボタンを押すだけのアナログ式電子投票だ。 識字率が73%で、3割の国民は、文字を書くことができないからである。 投票した人は、ボタンを押した指に、数日間は消えることのない、茶色の染料が塗られる。 このやり方は、数の不正が分かりにくいなど、短所もあるが集計の時に、人手がいらないなど優れた面もある。 インドらしい優れた選挙方式といえるだろう。

(実話)インド アジメール 若き資本家が誕生した瞬間を見た

イメージ
イスラム教の聖地アジメールでの、忘れられない光景の話。 巡礼者に金をせがむプロの乞食達を見た後に、宿のある隣町プシュガルに帰る途中の出来事。 路上で一人の少女に出会った。 彼女は路肩に白いビニールシーツを広げて、中国製の安いおもちゃを並べて売っていた。 自分が座るビニールシーツは、ない。 彼女は炎天下の中、舗装もされていない熱く砂利だらけの地べたに、そのまま座っている。 明らかに売り物の商品の方が、自分よりも大切だと考えているのが、よく分かる。 そして、道ゆく人たちに声を張り上げて、自分の大切なプラスチックのおもちゃを売り込んでいた。 三毛は、彼女が今まさに商売人として、第一歩を踏み出そうとしているのだと気づいた。 そして、大いに感動し、涙が出そうになった。 前回の聖廟の前にたくさんいた乞食と、おもちゃを売っている少女との違いがわかるだろうか? それは売り物の商品を仕入れて、利鞘を乗せて販売するという、経済行為をしているかどうかである。 つまり資本の蓄積が、できているかどうかの違いだ。 乞食はプライドを捨て、自分自身を見せ物にして、金を稼いでいる。 だが売り物の資本を蓄積し増やしていくことはできない。 物理上、商売道具である自分の体を、増やすことができないからである。 一方、おもちゃ売りの少女は、客と対等な立場で、売り物の商品や量を、今後増やすことができる。 自分のプライドを捨てて、他人から施しを受けて生きていく必要もない。 おもちゃが売れれば、取り扱いの品揃えを増やして、資本の回転率を上げることが可能だ。 きっと彼女は将来、路上暮らしから抜け出して、自分の店を持つことになるだろう。 ビニールシーツの最善列に、ゼンマイ仕掛けの白いライオンが置いてあった。 それはまるで、資本家として歩み始めた彼女を象徴するような品物だと、三毛は思った。 三毛イキルのプロフィール 外こもり写真(フォトAC   全てダウンロード無料) https://premium.photo-ac.com/profile/24044959 2024 年 2 月~ 7 月のインド・ネパール写真を、 Adobe stock ・フォト AC に新規追加中です。

(実話)インド アジメール 食を乞うことを生業とする人たち

イメージ
海外旅行に行ったことのない親類の女性に、インドに対するイメージを聞く機会があった。 彼女は、団塊の世代に属する人間である。 インドのイメージとは 「カレー、ガンジー、乞食が多い、暑い、臭い、危ない、絶対に行きたくない。」 カレーとガンジー以外は、インドは危険で訳のわからない国、というネガティブな印象を持っていた。 もしこれから海外に行くとすれば、フランスのパリかロンドン、ハワイのビーチリゾートと言う。 私は、なるほどと頷きながら、興味深く話を聞いた。 彼女の意見に否定はしない、人それぞれだ。 でもこういう人は、安全だと思っている日本から出ることなど、今後は一生ないだろう。 団塊の世代でなくても、安全志向で綺麗好きのミーハーな女性は、同じような見方をする人は多い。 三毛とは真逆のタイプである。 私は、乞食が多く、臭く、汚く、無秩序で、物価の安いカオスな国が大好きな人間だ。 もちろん安全な国が良いのは言うまでもない。 だから、いくら物価が安くても、危険地帯に行くことは極力避ける。 ところで、彼女のいう指摘は、ほとんど当たって、文句のつけようがない。 インドは日本よりも危険で暑いし、カレー臭い。 そしてガンジーは、今でもインドで一番の有名人だ。 前置きが、長くなった。 今回はインドの乞食、特に食を乞うプロの職業人について述べたい。 経済発展が著しいインド、三毛の体感では初めてインドを旅行した30年前と比べると、乞食はすごく減少したと感じている。 統計的にみても、1973年のインドの貧困率は54.9%、2022年では11.2%と大幅に改善している。 インドを街歩きすると、毎日どこかで食を乞う人々を見かける。 中には、食を乞うことを、プロの生業とする誇りを持った人々を見かける。 乞食専門のカーストがあると聞いたこともある。 彼らは有名な観光地に、自分の縄張りを持っていて、いろんな観光客から絶え間なく小銭をもらっている。 個人差が大きく、プロの乞食は貧困層が稼ぐ何倍もの収入を得ている。 普通の会社員よりも裕福で、所得税や住民税を払う必要もない。 彼らの目は生気が宿っていて、金を与えてくれる人間を見分けることに長けている。 プロの乞食かどうかの見分け方を、イスラム教の聖地アジメールで、私...