インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑫
インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑫
取手の蓋を開けた写真です。
これはガンメタなどで、人工的につけた錆ではありません。
内部も外と同様の錆がつき、同じ具合に変色しているからです。
この錆具合からすると、店主が昨日言ったように、100年以上前のものかもしれないと思いました。
電気のない時代に近くの城の通路や室内で、灯火を灯し続けてきたものでしょうか。
このずっしりした重さと、小さくて可愛らしい形のアンバランスが私の好みをくすぐりました。
「いくらに負けてくれるの?」というと、思いがけない返事が返ってきました。
「5ドルでいいよ。お前、お金ないんだろ。」
紅茶をおごって、粘り強く30分も待った甲斐がありました。
この大男の店主は、話をすると先代からの息子で、骨董収集には関心がないようでした。
アンティークに対する思い入れが、そもそも欠けているのを私は感じました。
それよりも、地域で捨てられた保護犬の活動に熱心に取り組んでいるとのことでした。
インドで捨てられる飼い犬の現状を、10分ほど熱心に教えてくれます。
彼は商売よりも、他人との縁や動物との絆を大切にする優しい性格の人でした。
彼の言い値で買い、同時に子犬のための募金箱にも、寄付をして「ありがとう。」と言って店を去りました。
いま三毛の手元にありますが、これは非常に使い勝手の良い骨董品です。
時代を経た真鍮の錆びが、独特の存在感を放ち、室内のインテリアとしても重宝しています。
特にドライフラワーとの相性がよく、殺風景な室内を華麗に明るくしてくれる逸品です。
(終)
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