ミャンマー 骨董品の漆器を探して バガン⑥
ミャンマー 骨董品の漆器を探して バガン⑥
指導教官のミャンマー人漆芸家が開いている工房に行きました。
場所はバガン市街の街道沿いにありました。観光客向けに商品を展示してある平屋建ての商店と、教官家族が暮らす自宅が2軒並んで建っています。
外国人観光客のバスが停車できるように、駐車場も備えた大きな敷地でした。
漆芸学校の先生からの電話で、私の訪問連絡を事前に快諾してくれた指導教官本人が応対してくれました。
50歳ぐらいの老眼メガネをかけた細身の男性です。知的な顔つきで、ミャンマー伝統の男性用布スカートであるロンジーを見事に履きこなしていました。
日本の着物もそうですが、民族固有の衣装を普段使いしている人は、本当にかっこいいと思います。
店舗の一角に漆器製作のブースが設けられていました。
作りかけの漆器が手順ごとに並べられて、外国人観光客向けに説明しやすいように展示されています。
写真左上に砂岩とそれを砕いた粉が灰色のプラスチック容器に入っています。
ミャンマーの伝統的な漆器には、下地に粘土質の土と木屑、漆を混ぜてものを最初に下地に塗っていきます。
写真左下の工程の始まりとなる、下地が竹でできた器にご注目ください。一番底の部分に穴が空いています。
塗料を塗った後、底に溜まった余分な塗料を、穴から自然に排出できるように、指一本分の空洞が残っています。
この工房の器は10回の塗り工程を経て作られています。下の段の左から右に行くごとに、塗りの回数が増えていきます。
中段の右から左にかけて凹凸がなくなって、表面が研ぎ澄まされているのがわかります。中段の左から2つは最後の仕上げの部分で、上質な黒漆を塗ってあります。そして完成です。
どのくらいの期間が必要なのか指導教官に尋ねたところ、器の大きさと素材によって微妙に異なる。
この竹素材の器だと塗りの都度、乾燥させる必要があるので1ヶ月ほどかかると言われました。
本当に根気のいる作業です。
(次回へ続く)
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