インド 高額紙幣即日廃止で大行列 生活骨董を探す旅③
インド 高額紙幣即日廃止で大行列 生活骨董を探す旅③
列に並んでからしばらく経って、私は閃きました。この行列から逃れるための打開策です。
外国人観光客専用の窓口が、インド国鉄の切符販売所に設けられていたことを思い出しました。
政府機関であるインド国鉄は、外国人観光客への不便さを解消するために、切符購入の際に専用の窓口を設けているのです。
イギリス植民地時代の名残なのでしょうか?
もしかすると、外国人向けの両替レーンが特別にあるかもしれないと考えました。そこでインド人の長い列の脇を歩いて、先頭に向かいました。
どうかありますように・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・!
残念、読みは外れました。入場の列は、1列のみでした。
昨晩から徹夜で並んでいたと思われるインド人は、他の部外者が横入りしないように体を密着させています。
全員、疲れた顔の表情で、次に入場する順番を門番の警備員の横で、じっと待っています。
やっぱりダメかと諦めて、最後尾の列に並び直そうとした時に、入り口にいた警備員と目が合いました。
彼はインド人らしくない顔つきをしていて、ミャンマーに近い東インドのマニプールかナガランド出身の人に見えます。
私は彼に、ナマステーと挨拶しました。ここからは英語での会話です。
警備員「あなたは外国人観光客ですか?銀行に御用ですか?」
私「はい、日本から紙幣交換のために来ました。これから、行列に並ぶところですが、何時間待ちですか?」
警備員「6、7時間ぐらいかな。」
「ほんとですか?参ったなー」と私。
警備員「でも君はゲストだから、列に並ばなくてもいいよ。いますぐに入れてあげるよ」
「ゲストって何ですか?」と問いかける私に、彼はこう言いました。
警備員「この国のインド人は外国人観光客に対しておもてなしの心、ホスピタリティを持っている。」
「この金融混乱の責任は、外国人にはない。だから、無理して列に並ばなくても、誰も文句を言ったりはしないさ。」
バックパッカーで貧相な格好をしていても、日本人は賓客として迎え入れてくれていると分かり、私は感動しました。
否、日本人でなくても、外国人なら皆、列に並ばなくても大丈夫なのでしょう。
側にいて我々の会話をずっと聞いていた列のインド人も、同意して頷いています。
「本当にありがとうございます。」と私は警備員と周りのインド人にお礼を言いました。そして政府銀行の中へと入ることができました。
さっそく交換のための茶色い申請用紙を入手して、銀行内にあるカウンターに並びます。
その申請用紙を見ると1日2000ルピーまでしか、新紙幣に両替できないと書いてあります。
何日かかるんだ・・・これ!?
結局それから毎日、銀行に行き12月最終週に、手持ちの旧紙幣を全て新紙幣を交換することができました。
毎日まったく行列に並ぶことなしに!!
大変な手間暇でしたが、インド人よりは優遇されています。
何より高額紙幣が突然無価値になるという預金封鎖社会を体験できたことは大きく、それ以上にインドの素晴らしいホスピタリティを得ることができました。
本当に私は貴重な経験をしたと思います。インドが更に好きになった出来事を紹介しました。
(次回へ続く)
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