手織り絨毯を探す旅 序章
手織り絨毯を探す旅 序章
私は昼寝が好きです。
ご飯を食べた後、こたつに横になってウトウトするのは、お金もかからず手軽にリラックスできる庶民の贅沢です。
その昼寝の時に、床に敷くクッションがありませんでした。クッションといえば、絨毯がいちばんです。
丈夫な手織り絨毯がほしいと思ったのが、2018年の4ヶ月にわたる中央アジアの旅のきっかけでした。
何十年も昔、初めて中国の新疆ウイグル自治区を旅行したときに、座布団サイズの絨毯を買ったことがありました。
買った場所は、和田(ホータン)というタクラマカン砂漠の南にある小さな町の絨毯工場です。
わたしは当時まだ大学生で、大きなサイズの手織り絨毯を買うお金などありません。
そこで、一緒に旅をしていたシンガポール人の友達に中国語で値切ってもらい、50ドルぐらいの、バラと唐草模様の絨毯を買いました。
絨毯の専門知識は、全くありませんでした。ただ絨毯に使われた羊毛が長く、ふかふかしているのを気に入りました。
日本に持ち帰って座布団がわりに使えば便利かなと思ったのが、購入の理由でした。
あれから40年近く使用していますが、とても丈夫で、糸がほつれた箇所はありません。良い買い物でした。
中国の絨毯は、中国段通と言われています。特にホータンの絨毯は、使用されるウールの毛が長く、厚みがあるのが特徴です。
絨毯といえば、世界的にはイランのペルシャ絨毯が有名です。
中国段通は、3000年以上前にイランからシルクロードを通って中国に伝わり、そこで独自の製法が確立したと言われています。
つまり絨毯の作り方が違うのです。
ペルシャ絨毯は縦糸と横糸を交互に結んで、ノットを作ってから編み上げます。
一方の中国段通は、横糸を縦糸に通すだけで結んでいないのです。だから耐久性に劣ると言われますが、メリットもあります。
絨毯を職る人が、結び目を省くことで早く作れ、値段が安く作れるのです。
今回、シルクロードを再訪する上で、ペルシャに近い国である中央アジア諸国で絨毯を買いたいと思い、中国の重慶に飛びました。
(続く)
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