(投資)アベノミクスの功罪
2023年3月11日に作成した投資に関する未公開の記事です。
投資が好きな人向け、ご参考にどうぞ。
アベノミクスの功罪
実質賃金の下落が止まらない。
厚生労働省が本日発表した毎月勤労統計調査で、2022年11月の実質賃金は、前年同月比3.8%減となった。
8年6ヶ月ぶりの下落率で、マイナスになるのは8ヶ月連続である。
電力代や食料品が値上がりする物価高に、賃金の伸びが追いつかない状況が続いている。
景気が後退していく中で、物価上昇が同時に進行していく経済状況が、ゆっくりと進行中である。
これを、スタグフレーションと呼ぶ。
景気停滞を意味するStagnationとInflationを組み合わせた合成言語である。
マクロ経済では、景気が後退していく時は需要が落ち込むことで、これが経済のデフレ要因となる。
ところが、資源生産国の戦争や原油価格の高騰で、資源価格が上昇すると、不景気の最中でも物価が上昇することがある。
景気後退で賃金が上がらない中、物価が上昇し続けていく状況は、一般庶民には過酷な経済環境だ。
それが、今日発表された統計でも如実に現れたといえる。
アベノミクスによる大規模な金融緩和は、国内の為替にも大きな影響を与えた。
以前と比べると、かなりの円安となったのである。
黒田日銀総裁が安倍の意向を汲んで、過去10年にわたり実施した大規模金融緩和で、日本国債の金利を低めに誘導した結果、アメリカとの金利差が拡大したことが主な要因である。
円安になれば製造業を中心として、輸出で儲ける企業は景気が良くなるが、石油や食料などの原材料価格は上昇していく。
輸入物価が上がれば、生産者物価指数がまず最初に影響を受け、最終的に消費者にそのツケが回される。
実質実効為替レートを見ても、円の購買力は50年以上前の水準まで低下している。
具体例として、円の対ドルレートについて見てみると、1995年1月を基準時点100とした場合、2022年4月の水準は43.5である。
なんと半分にも満たない。
10年ほど前の民主党政権時代は1ドル80円ほどだったことを考えると、これは大きな変化である。
頻繁に海外旅行する人は、現地通貨に両替する際、受け取る紙幣の量が減り続けているという実感を持っている人が多いだろう。
価値が希薄化していくお札を(一時的に)多く受け取って大喜びしても、その興奮は長くは続かない。
水で薄めたウイスキーや日本酒を、たくさん飲めたからといって、肝心の酔ったいい気分が長続きすることはない。
酔い潰れた後に、深夜何度も起きて、おしっこに行く回数が増えるだけである。
(香港 金融博物館)
戦前の物価高騰をわかりやすく説明したイラスト。
最後は、お茶碗いっぱいのご飯にも満たない大きさである。
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