(投資)アベノミクスのトリクルダウンについて
2023年3月11日に書いた未公開の記事です。
投資が好きな人向けです。
アベノミクスのトリクルダウンについて
岸田首相は昨日、三重県の伊勢市で記者会見を開いた。
連合が春闘で5%を超える賃上げを求めていることを踏まえて、物価の上昇率を超える賃上げの実現を、経済界に求めたようだ。
そこで首相は、こう述べた。
「この30年間、企業収益が伸びても賃金は伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった。」
想定されたトリクルダウンという言葉の前には、カッコがきで(アベノミクスで)がくるわけで、アベノミクスの失敗を岸田首相は、暗に認めた訳である。
トリクルダウンとは、企業経営者や富裕層が景気良くお金を使うことで、その周りで富が循環していく経済現象のことを指す。
2013年以降、もうすぐ退任する黒田日銀総裁がアベノミクスの方針の一環として大規模な金融緩和が始まった。
それにより、金融市場になだれ込む余剰資金は増え、持ち株が値上がりした企業経営者や富裕層は大儲けをした。
儲かった企業では投資を増やし、雇用も増えて、従業員に支払う賃金も上昇するはずだった。
しかし、2014年の後半になっても、トリクルダウンの計画は実現しなかった。
いや、実現の兆しすら起きなかった。これを、私ははっきりと覚えている。
当の本人である安倍元首相も、その後はトーンダウンして、トリクルダウンのことなど一向に言わなくなった。
アベノミクスは結果的に、大企業の内部留保や富裕層の金融資産を増やしただけで、株などやる余裕もない、一般庶民には何の恩恵もなかったのである。
これを岸田首相は、昨日になってようやく認めたわけだ。
今思うと、2013年の時点で企業経営者は、アベノミクスや黒田日銀の金融緩和政策の本質を見抜いていたといえる。
彼らは、さすがに賢かった。
大規模な金融緩和だけで、景気が持続的に発展することはないと、最初から見抜いていたのである。
だから将来のために内部留保を積み増し、投資もほとんどせず、従業員に利益を還元する気など全くなかったのである。
アベノミクスで儲かった富裕層も、基本は吝嗇家(どケチ)である。
支出をコントロールできる合理性を持っているからこそ、お金持ちになれたといえる。
彼らは投資で儲かった分を、そのまま全部消費に回すことなど絶対にしない。
今回の岸田首相からの要請を受けても、企業経営者が賃上げをするところなど、皆無に等しいだろう。
大企業でさえこんな姿勢だから、日本で99.7%を占める中小企業で、賃上げなど起きるはずもない。
今年も、一般庶民は電気代や食料品が値上がりし続ける中で、苦しい家計のやりくりをする日々が続きそうである。
(タイ チェンマイの市場)
2016年の写真。この頃のタイは、物価上昇が一服していた。
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