(投資)日銀の大規模金融緩和について
2022年末に、作成した株式投資の記事です。
今の急速な物価上昇の原因の一つである、黒田バズーカーについて述べています。
お好きな人は、一読ください。
日銀の大規模金融緩和についての相場考察
2022年相場のおさらい4番目に、これを指摘した。
④黒田日銀総裁の退任が来年4月に控えて、日銀の大規模金融緩和スタンスに変化が生じ始めた。
今日は、この日銀スタンスの変化について、ブログを書くことにする。
黒田氏が、31人目の日銀総裁になったのは、今から10年ほど前の2013年3月だった。
父親は海上自衛官、東大在学中に司法試験にも合格したエリートである。財務省出身者だ。
2017年の週刊東洋経済の記事で、黒田の姉によると、彼は穏やかでおとなしい性格だったそうだ。
私は黒田氏の仕事に対する熱意や行動力には、好意を持っている。前任の白川氏とは文字通り、実行力が白と黒ほど違っている。
私は自分の考えをしっかりと持った人で、それをすぐ実行に移す行動力を持った人が好きだ。
彼はいわゆる一徹居士のタイプだろう。こういう人は大好きである。
しかし彼の金融政策には、10年前の当初から全く支持していない。
なぜなら彼は、日本経済を日銀の金融政策だけで、ある程度コントロールできると思い込んでいるからである。
また彼は財務省出身者のため、財政健全化のための消費税増税も支持した。金融緩和と消費税増税は、水と油ほど違う性質を持ってるにも拘らずである。
彼の政策は真面目で異質すぎて、金融市場が機能不全に陥ることも多く、近年はその弊害が目立つようになっている。
彼は頑張りすぎたというのが私の評価である。もう自分の過ちを認めることができない頑固な老人に成り果てている。
自分が始めた大規模金融緩和の弊害を認めようとせず、我が道を最後まで突き通す覚悟を決めているようだ。
その被害者は我々、一般庶民のようだ。
円安とインフレが止まらない。給料が一向に上がらない中、原材料価格や輸入品がいまも値上がりし続けている。
私の体験談としても、電気代が約2倍以上上がり、日用品や食料の支出も増えているのが現状である。
彼を評価する上で、山上被告に銃撃されて去年亡くなった安倍晋三の存在は欠かせない。
2012年に首相に選ばれた安倍氏は、有名な3本の矢を例えたアベノミクスを打ち出し、20年にわたるデフレ脱却を目指した。
金融政策、財政政策、構造改革と成長戦略の3政策である。
当初、黒田氏の思い切った金融緩和政策と、巨額の国債発行により、アベノミクスは成功したように見えた。
株価は上がり、求人数が増え、失業者が減って日本経済は回復したように見えた。
しかし安倍元首相は、それに安心して3本目の構造改革と成長戦略には手を付けなかった。
構造改革には痛みが伴う。当初、安倍は何度も構造改革に言及したが、少し支持率が下がると、この言葉を全く口にしなくなった。
改革の中身が、補助金政策や企業支援など、誰もが目先の金欲しさに喜ぶ、小手先の政策に変わってしまったのである。
本来であれば、黒田氏が頑張って大規模金融緩和をして、まだ経済に勢いがあった時期に、これをやり遂げるべきだった。
しかし安倍元首相は、根本的にデフレをなくすための構造改革をほとんどやらなかった。
その結果、2022年には日本経済は再び不況に入り、当初の目標だった600兆円の経済規模を今も達成できていない。
一方の黒田氏はリフレ派の一因で、長年のデフレの責任は日銀にあると思っているようである。
私はこれが勘違いの原因だと思う。間違いではないが、主因ではない。
金融政策が間違っていただけで、日本経済がすぐデフレになるわけではないのだ。
私はデフレの根本原因は、少子高齢化という人口構成を元にした、年金や医療などの社会保障に、日本国民が強い不信感を持っているからだと考えている。
少子高齢化の解決はもはや困難で、先行きも暗い中、年金や医療費増大に不安感を持っている人が、お金を景気よく使う気になるだろうか?
2023年は日銀総裁の交代により、今までのイールドカーブコントロールで金利上昇を押さえつけてきたツケが、一気に顕在化する年となりそうだ。
行き過ぎた金融緩和が、今は一服したように見える円安やインフレを再燃させる年になるのか。
いずれアベノミクスの3本の矢が、今までのツケを3倍以上にして、日本国民の頭上に振り刺さることになるだろう。
残された時間はもう少ない。
(香港 金融博物館にあった古い紙幣)
大規模な金融政策失敗の事例。似たような話は昔も今も、世界中でたくさん存在する。
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