(実話)インド アジメール 食を乞うことを生業とする人たち
海外旅行に行ったことのない親類の女性に、インドに対するイメージを聞く機会があった。
彼女は、団塊の世代に属する人間である。
インドのイメージとは
「カレー、ガンジー、乞食が多い、暑い、臭い、危ない、絶対に行きたくない。」
カレーとガンジー以外は、インドは危険で訳のわからない国、というネガティブな印象を持っていた。
もしこれから海外に行くとすれば、フランスのパリかロンドン、ハワイのビーチリゾートと言う。
私は、なるほどと頷きながら、興味深く話を聞いた。
彼女の意見に否定はしない、人それぞれだ。
でもこういう人は、安全だと思っている日本から出ることなど、今後は一生ないだろう。
団塊の世代でなくても、安全志向で綺麗好きのミーハーな女性は、同じような見方をする人は多い。
三毛とは真逆のタイプである。
私は、乞食が多く、臭く、汚く、無秩序で、物価の安いカオスな国が大好きな人間だ。
もちろん安全な国が良いのは言うまでもない。
だから、いくら物価が安くても、危険地帯に行くことは極力避ける。
ところで、彼女のいう指摘は、ほとんど当たって、文句のつけようがない。
インドは日本よりも危険で暑いし、カレー臭い。
そしてガンジーは、今でもインドで一番の有名人だ。
前置きが、長くなった。
今回はインドの乞食、特に食を乞うプロの職業人について述べたい。
経済発展が著しいインド、三毛の体感では初めてインドを旅行した30年前と比べると、乞食はすごく減少したと感じている。
統計的にみても、1973年のインドの貧困率は54.9%、2022年では11.2%と大幅に改善している。
インドを街歩きすると、毎日どこかで食を乞う人々を見かける。
中には、食を乞うことを、プロの生業とする誇りを持った人々を見かける。
乞食専門のカーストがあると聞いたこともある。
彼らは有名な観光地に、自分の縄張りを持っていて、いろんな観光客から絶え間なく小銭をもらっている。
個人差が大きく、プロの乞食は貧困層が稼ぐ何倍もの収入を得ている。
普通の会社員よりも裕福で、所得税や住民税を払う必要もない。
彼らの目は生気が宿っていて、金を与えてくれる人間を見分けることに長けている。
プロの乞食かどうかの見分け方を、イスラム教の聖地アジメールで、私は発見した。
それは彼らが消費者として、乞食中に他の物売りに、自分からお金を払っているかどうかだ。
炎天下で全身を使って乞食をするには、人一倍の体力や精神力が必要だ、その消耗は激しい。
彼らにも、休憩の時間が必要なのだ。
傍からじっと観察すると、乞食するのに疲れたら、リラックスするためによく休んでいるのがわかる。
そして三毛と同じ食堂で、チャイを飲んでサモサを食べ、楽しそうに仲間同士で雑談している。
本当に食に困った乞食は、こういう行動はしない。金に余裕がないので、疲れたら寝ぐらに帰って寝るしかないのだ。
ここでは、インドで出会ったアジメールのプロ乞食が頑張っている姿をいくつか紹介したい。
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