(実話)インド ニューデリー インド工科大学と地下鉄の壁画
カースト制度が今でも根強く残るインド。
下層カーストの若者が豊かになるためには、テクノロジーを学ぶことが近道だ。
WEBプログラミングやAI関連の職業は、昔からあるカースト制度が定める仕事にはない、新しい職業だからである。
インド人は、知らない人でも相手の苗字を聞いただけで、瞬時にカーストや職業を推測することができる。
職業が分かれば、自分よりも収入が多いか、少ないかがわかる。
器量の狭い人では、それにより相手に対する態度を変えることもあるだろう。
三毛は、以前有名なインド映画で3idiots(日本名、きっとうまく行く)を見たことがある。
インドの名門大学IIT(インド工科大学)に通う3人の青年の物語だ。
3人の家族はそれぞれ、大富豪、平民、貧民の3パターンだった。
3人ともIITで学んだことで、その後の人生を確かなものにしたのを私はよく覚えている。
次にインドに行った時には、IITを見てみたいと思っていた。
特に、IITの学生と話がしたいと思ったのである。
IITを訪問した。今では地下鉄の駅名にもなっている。
印象的だったのは、駅の構内にあった壁画。
懸命にCPUと思われる壁を、落ちないように、何人もの人間がクライミングしている。
足場がほとんどない中、テクノロジーの壁を必死に乗り越えようとする姿は、印象的だ。
警備員に中に入りたいと言ったが、招待状が必要と言われ断念。これは想定内。
相手はメガネをかけた色白の痩せた男子学生、アーリア系の高カーストだろう。
将来はAI関連の仕事につきたいが、学内でも競争が激しく、同期で勝ち抜いても院卒の先輩が前に詰まっているので、良いところに就職するのが大変だと言う。
カースト制度の問題点を聞くと、今のインドでは下層カーストが優遇されすぎて、高カーストの職業選択が狭められて、逆差別になっているとのこと。
卒業後は、インドではなくアメリカの大企業で働きたいそうである。
現実は、映画のようにIITを卒業しても、簡単にハッピーエンドとはいかないようだ。
三毛は、地下鉄駅に戻り、CPUの壁をよじ登る人間の壁画をじっと見つめた。
壁画の製作者は、テクノロジーの本質を深く理解していると感心したのである。
三毛イキルのプロフィール 外こもり写真(フォトAC 全てダウンロード無料)
https://premium.photo-ac.com/profile/24044959
2024年2月~7月のインド・ネパール写真を、Adobe stock・フォトACに追加しました。


