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12月, 2022の投稿を表示しています

インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑧

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インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑧ この村では、日用品として昔から真鍮製品が多く使われてきたようです。 その影響もあって、今でもカレーを盛り付ける大皿や水差しは村の中でよく見かけます。 女性が額につける染料の粉が入った器(ビンディ入れ)も真鍮製品で、村の商店で売られていました。 私が探している金属製の生活骨董も、この村に埋もれている予感がしました。 そこで骨董屋がないか、村を歩き回って丹念に探します。 でも、さすがにここは田舎町。しかもアグラやバラナシのように、有名な観光地ではありません。 夕方、宿に戻る前に小腹が空いてスナックを食べようと、ある路地に入りました。 そこでは鉄板焼きで、小麦粉をつぶして、そこにダール豆や玉ねぎを入れて炒めたものを出しています。 香ばしいにおいに惹かれ、私も注文しました。注文がある毎に、具材を丁寧に炒めていきます。 カレー味のお好み焼きみたいな感じで、美味でした。 その屋台の隣の店が、犬の保護センターになっていて、鎖に繋がれた子犬が遊んでいました。 食べ終わったあと、子犬と遊ぼうとその店に行くと、ショーウインドーがあり古そうな道具が展示してありました。 ちょうど店じまいをしているところで、軽く店内を拝見しました。 すると古そうな真鍮製品があるではないですか。 ちょっと気になる一品があったので、店主のいかつい大男に聞いてみました。 「100ドル」と真鍮製品としては、予想外に高い値段。100年以上前に、王宮で使われていたものだからと、吹っかけてきます。 貧乏旅行者でそんなお金はないよと言って、そそくさと退散しました。 それでも、欲しかった真鍮製品を頭に焼き付けながら、宿に戻りました。

インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑦

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インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑦ ゴールドやシルバーといった高価な素材が購入できない庶民は、それに変わる金属を日常生活に取り入れました。 それが真鍮(ブラス)です。日本の5円玉が真鍮製ですね。インドでは古くから真鍮製品が、生活の中に取り入れられてきました。 オルチャの真鍮の生活用品を扱う雑貨屋 真鍮は銅と亜鉛の合金でできていて、黄銅とも呼ばれます。 特に亜鉛が20%以上のものを指します。亜鉛の割合が多くなるに連れて、色が薄くなり赤みを帯びてきます。 日本の5円玉が黄銅製ですね。真鍮の特徴は延性に優れているという事、つまり熱により様々な形に加工しやすい金属と言えます。 インドではカレーを盛る皿、水差しや調味料入れ、ヒンズー教の祭壇に飾る神様も真鍮で作ります。庶民の生活に欠かせない金属です。 (次回へ続く)

インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑥

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インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑥ 昔の庶民のおしゃれ。その答えは、今の民芸品売り場にありました。 城のお姫様は職人が仕立てた黄金や銀の装飾部、高価なシルクの衣装で身を飾りました。一方の庶民階級は、そんな高価な素材は絶対に手に入りません。 当時の村娘は素材が安価な綿や木綿でも、それを自分で鮮やかな色に染める事で、見栄えのする衣装を作ったのです。 手間暇をかけて自分の好きな刺繍や、色鮮やかなパッチワークをして、華麗な一点物を作ることで、見事に王族の豪華さに対抗したと言えます。 お金がなく見栄えしない材料しか買えないというハンデを、刺繍やパッチワークの手間暇でカバーしました。自分だけのブランドを作る事で、一点物の美を追求したのです。 その伝統技が今日まで、この地域には代々引き継がれていました。 オルチャの土産物店にあった刺繍のバック オルチャの土産物店にある玄関に、このバックは飾られていました。 花模様の刺繍に子安貝のブローチをアクセントとして添えています。見事な工芸作品です。 (次回へ続く)

インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑤

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インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅⑤ 城の中庭から屋上へ上がる階段を登ります。 螺旋階段の壁は吹き抜けになっており、柔らかい砂岩を手彫りで削った透かし細工が施されています。 その模様も様々で、非常に美しい光景です。500年以上前のインド職人の技術の高さを表しています。 屋上へ着きました。 先ほどまで居た、城の中庭が見えます。5階建ての作りとなっています。 王の部屋にある壁画です。当時の王宮の暮らしを描いています。 黄色と朱色、黒の3色を基調とした壁画です。当時の煌びやかな生活が、想像できます。 壁画にもある様に、インドの王族は金や銀製品、赤や黄色の見栄えのする絹製品を好んで使っていました。来ている服装も派手で豪華です。 一方の彼らに搾取される側の庶民は、どの様なおしゃれをしていたのでしょうか?三毛はバックパッカーなので、彼らと同じ庶民階級です。ちょっと気になりました。 (次回へ続く)

インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅④

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インド 古都オルチャ 生活骨董を探す旅④ 無事に旅の資金を確保した三毛イキル。これから3ヶ月ほどかけて、反時計回りにインドを1周することにします。 大晦日を仏教の聖地ブッダガヤで過ごし、日本寺で除夜の鐘をつき、年越しそばを食べました。 年が明けてから、定番の旅行ルートであるバラナシ・アグラに行きました。ここは4度目の訪問でが何度行っても良いところです。 そして、インドの中心部にある都市 Jhansi(ジャーンシー)の南にあるOrchha (オルチャ)へ着きました。ラージプート族の古い都市です。 ここは16世紀から18世紀末まで、ヒンズー教が厚く信仰されたラージプート王国があった街です。 世界遺産級の名所ではないため、田舎街の雰囲気がします。外国人観光客も少なく、のんびりできそうです。 実は意外とこういう所に、周辺の村から集まった生活骨董のお宝が眠っています。 今回、私が探すのは銅や真鍮でできたイギリス植民地時代に庶民が使っていた骨董です。私は金属製の骨董が好きなのです。 まずは宿に荷物を下ろしてから、観光名所のジャハーンギール・マハルに行きました。 砂岩でできたインド特有の城塞です。城の前は、小さな小川が流れています。河の奥にある高台に築城したことで、周りが自然にできた水堀で守られています。 そこには茶色い石橋が架けられていて、オレンジ色の修行僧が通りの人に喜捨を求めていました。 入場料を払い、城の中庭に来ました。中々見応えのある城です。 (次回へ続く)

インド 高額紙幣即日廃止で大行列 生活骨董を探す旅③

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インド 高額紙幣即日廃止で大行列 生活骨董を探す旅③ 列に並んでからしばらく経って、私は閃きました。この行列から逃れるための打開策です。 外国人観光客専用の窓口が、インド国鉄の切符販売所に設けられていたことを思い出しました。 政府機関であるインド国鉄は、外国人観光客への不便さを解消するために、切符購入の際に専用の窓口を設けているのです。 イギリス植民地時代の名残なのでしょうか? もしかすると、外国人向けの両替レーンが特別にあるかもしれないと考えました。そこでインド人の長い列の脇を歩いて、先頭に向かいました。 どうかありますように・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・? ・・・・・・・・・・・・・! 残念、読みは外れました。入場の列は、1列のみでした。 昨晩から徹夜で並んでいたと思われるインド人は、他の部外者が横入りしないように体を密着させています。 全員、疲れた顔の表情で、次に入場する順番を門番の警備員の横で、じっと待っています。 やっぱりダメかと諦めて、最後尾の列に並び直そうとした時に、入り口にいた警備員と目が合いました。 彼はインド人らしくない顔つきをしていて、ミャンマーに近い東インドのマニプールかナガランド出身の人に見えます。 私は彼に、ナマステーと挨拶しました。ここからは英語での会話です。 警備員「あなたは外国人観光客ですか?銀行に御用ですか?」 私「はい、日本から紙幣交換のために来ました。これから、行列に並ぶところですが、何時間待ちですか?」 警備員「6、7時間ぐらいかな。」 「ほんとですか?参ったなー」と私。 警備員「でも君はゲストだから、列に並ばなくてもいいよ。いますぐに入れてあげるよ」 「ゲストって何ですか?」と問いかける私に、彼はこう言いました。 警備員「この国のインド人は外国人観光客に対しておもてなしの心、ホスピタリティを持っている。」 「この金融混乱の責任は、外国人にはない。だから、無理して列に並ばなくても、誰も文句を言ったりはしないさ。」 バックパッカーで貧相な格好をしていても、日本人は賓客として迎え入れてくれていると分かり、私は感動しました。 否、日本人でなくても、外国人なら皆、列に並ばなくても大丈夫なのでしょう。 側にいて我々の会話をずっと聞いていた列のインド人も、同意して頷いています。 「本当にありがとうござ...

インド 高額紙幣即日廃止で大行列 生活骨董を探す旅②

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インド 高額紙幣即日廃止で大行列 生活骨董を探す旅② ここまで金融混乱が深刻だとは、思っていませんでした。 モディ首相の発表があまりに突然だったため、一部のインド国民が過度に反応してしまったようです。 とにかく新紙幣を銀行窓口やATMから可能な限り確保しようと、皆がパニックになっているのです。 それを見た他のインド人も負けじと現金を手にしようと、もみ合いになり悪い連鎖反応が起きています。 これは彼らを責めることはできません。日本も1973年にオイルショックで、トイレットペーパーがなくなると言って、めちゃくちゃなパニックになりました。 私は渡航前に、コルカタにあるチャンドラボーズ国際空港の銀行出張所で高額紙幣交換ができるとの情報を入手していました。 しかし、この穴場にも殺到する人が多く、既に2016年11月末で交換が終了していました。 街中の銀行店舗内で稼働中のATMも、パニックになったインド人が殺到して大行列です。一日並んでも現金を手にできるか分かりません。 街中にある他のATMは新紙幣が品切れになっているところがほとんどです。 電源は付いていますが、表示画面は全てサービス停止となっていて、クレジットカードのキャッシングも全く利用できません。 万事休すです。一文無しの怖さを体感しました! こういう時は地元で信用できそうなインド人に相談するのが、いちばんです。 そこで、宿に帰った後に、フロントにいたオーナーの息子にどこで新紙幣を両替できるのか聞きました。 最終手段としては、日本銀行に相当するインド連邦準備銀行の、コルカタ支店に行くしかないとの事です。 やれやれ、これで高額紙幣交換の手段は確定しました。まずは昨日の深夜、空港のベンチで雑魚寝し消耗した体力を回復させる必要があります。 近くの露天で、私の大好きなチャイを立て続けに2杯飲んで、目を覚まします。そして朝食に、揚げパンと豆カレーを食べ、腹ごなしをしました。 私はA型肝炎のワクチンを打ってるので、屋台での食事に全く抵抗感はありません。お腹いっぱいになりました。 その後、街中にあるインド連邦準備銀行コルカタ支店に向かいました。銀行の窓口が開く、午前9時ですが、既にものすごい行列です。 巨大な敷地面積を誇る政府銀行を、ぐるりと1周するぐらいの大行列です。入り口がどこにあるのか、最後尾からは全くわからないほどです。 午前...